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相続で引き継いだ生産緑地の維持管理に悩む方や、高齢で営農継続が難しくなっている方は少なくありません。
生産緑地がそのままでは自由に売却できないことをご存じの方も多いでしょう。
じつは、生産緑地は指定解除の要件を押さえれば、売却することは可能です。
この記事では、指定解除の要件や税金面ではどのような問題があるのか、また知っておくべき注意点も合わせて解説します。
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生産緑地とは、市街化区域内の農地を都市計画に定め、良好な生活環境の確保や都市環境の保全を図る制度を指します。
生産緑地は、農地以外の使用用途は農業を営むために必要であるものに限られ、指定されるためには具体的な要件が定められています。
生産緑地の背景
生産緑地は、都市計画法に基づいて指定される市街化区域内の農地です。
都市における貴重な緑地空間として、計画的な保全が定められています。
これにより、都市開発が進む中で自然環境と農業空間の持続的な維持を図り、都市生活における公害や住環境の劣化を防止しています。
また、農業生産活動を通じて、新鮮な農産物の供給や災害時の避難場所、環境保全など多面的な機能も果たしています。
この制度は、急速な都市化の中で農地を守りながら、都市環境との調和を図る重要な役割を担っています。
どのような土地が生産緑地に指定されるか
生産緑地の指定には、具体的な要件が定められています。
まず、面積要件として、一団で500㎡以上の農地を原則としていますが、平成29年の法改正で、市町村の条例により指定できる最低面積が500㎡以上から300㎡以上に引き下げることが可能になりました。
また、農業の継続が可能な条件を備えているか、将来的に公園などの公共施設の建設に役立つ土地として適しているかも求められます。
さらに、現に農業の用に利用されている土地であり、容易に農業に利用ができる土地であるかが条件です。
公害や災害の防止に役立ち、農業と調和した都市環境の保全などに効果があるかどうかも重要です。
これらの要件を満たす土地のみが、生産緑地として指定される資格を有しています。
ただし、当該農地の所有者、その他の関係者の同意が必要不可欠であり、強制的な指定はおこなわれません。
指定されると30年の間農地や緑地として維持することを条件に、税金の軽減措置を受けることができます。
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生産緑地の売却するための要件と解除方法
生産緑地は厳格な制限下にある一方で、解除の要件を満たせば指定の解除が可能です。
解除後は用途制限がなくなり、宅地としての売却や開発が可能となります。
ただし、いくつかの要件や手続きが必要で、税負担の増加など重要な検討事項があります。
生産緑地の指定解除の要件
生産緑地の指定解除にはいくつかの要件があります。
生産緑地は、指定から30年が経過した後に所有者から市町村へ買取申出をおこなうことで、指定解除が可能になることがあります。
この際、市町村または市町村の斡旋によりその土地が買い取られない場合は、他の用途への転用が可能です。
また、農業の主たる従事者が疾病や怪我、その他の事情により農業を営み続けられなくなくなった場合や公共施設など特定の用途に転用する際に解除が認められるケースもあります。
農業を継続できない状態とは、農業の主たる従事者が1年以上の期間を要する入院となったり、身体的・精神的理由による著しい機能の障害などによって農業が不可能となった場合です。
さらに、指定期間の30年未満でも指定解除の申し出が可能な場合があります。
土地の所有者の高齢化や死亡により残された方では農業を継続できない場合や、生産緑地の相続人が農業の継続の意思がない場合も市町村に対して売買の申請が可能です。
ただし、これらの要件を満たしても、自治体の判断により解除が必ずしも認められるわけではないため、申請には十分な準備が必要です。
生産緑地の指定解除方法
生産緑地の指定解除は、いつでもおこなえるわけではありません。
要件を満たしたうえで、初めて解除の手続きが可能です。
手続き方法としては、まず市町村へ買い取りの申し出をおこなうために、市町村の担当部署へ申請をします。
この際、必要書類として生産緑地買取申出書や申出地の位置図および区域図、印鑑証明、土地登記簿謄本と公図、同意書や農業従事者証明など多くの書類の提出をしなくてはなりません。
買取申出を行った場合、自治体は通常、申請から1か月以内に買取の可否を通知します。
ただし、その後の解除手続きや書類確認、最終的な指定解除が完了するまでにはさらに時間を要します。
解除のための手続きが難しい場合は、専門家にサポートを依頼するとスムーズな手続きができるでしょう。
各自治体によって手続きが異なる場合もあるため、事前にしっかりと確認をして準備をしましょう。
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生産緑地の指定を解除するときの注意点
生産緑地の指定が解除されると、行為制限がなくなり自由な土地活用が可能になります。
しかし、自由な土地活用が可能でも、いくつかの注意点があります。
固定資産税が高くなる
生産緑地の指定が解除されると宅地への転用が可能になりますが、行為制限が解除された状態でも農業の継続は可能です。
制限がない分自由ではありますが、当該土地の軽減措置も一緒に解除されるため、通常の宅地などと同様の評価を受けるようになります。
そのため、指定されていたときと比べて、固定資産税が10倍以上に増額してしまうなどということもあるため注意が必要です。
生産緑地が指定解除されると、宅地としての評価が適用されるため、固定資産税が増加します。
ただし、急激な税負担を緩和するために、激変緩和措置が適用される場合があります。
この措置は、段階的に税額を引き上げるもので、5年間で段階的に上昇します。
その後は軽減措置が解除され、通常の税率が適用されるため、事前に増税額を試算しておくことが重要です。
激変緩和措置は5年後には解除されるため、売却を考えているならば早めに検討するのが賢明といえます。
解除されてしまえば、低税率の恩恵がなくなるため、課税額の負担の増加がどれくらいになるのかを事前に理解しておきましょう。
事前に専門家と相談し、試算をおこなうなどの準備をするのもよいでしょう。
納税猶予額を納めなくてはならない可能性がある
生産緑地の指定解除により、相続税の納税猶予が取り消され、猶予されている相続税と利子税を一括で納付する必要が生じます。
農地の相続により猶予されていた相続税がその対象となるケースが多く、解除後の負担が一気に高まります。
自治体や農林漁業事業者などが土地を買い取れば、その収入で支払いが可能ですが、生産緑地が解除になっただけでは収入にはならないため、支払いができない可能性もあります。
この納税猶予額についても、事前にしっかりと精査し、解除後の経済的影響を把握することが肝要です。
必要に応じて、税務の専門家に相談することも検討しましょう。
自治体が買い取らない可能性もある
買い取りの申出をおこなっても、自治体の財政状況や土地利用計画により買取られない可能性が高いのが現状です。
その場合、民間での売却を検討するようになりますが、不動産市況により希望価格での売却が困難な場合もあります。
生産緑地が指定解除された際には自治体が買い取る制度がありますが、必ずしも購入が保証されているわけではありません。
自治体の財政状態や政策方針、地域の需要によっては、買い取りを拒否される場合もあります。
このような場合には、他の方法で売却先を探す必要がありますが、市場の需要状況によっては希望どおりの売却が難しい場合もあります。
また、売却可能になるのは買い取りの申し出からおよそ3か月後になる点も覚えておきましょう。
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まとめ
生産緑地の指定解除は、法定要件を満たせば可能ですが、税負担の増加や納税猶予の取り消しなど、重要な検討事項が多くあります。
税理士や不動産専門家に相談し、財務面での影響の十分な把握が望ましいでしょう。
また、周辺の開発状況や不動産市況も考慮し、解除後の土地活用について綿密な計画が重要です。
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